健康志向に乗りNYで好評な沖縄料理


マンハッタンで沖縄料理を提供するレストランを経営する城間淳夫さん=米ニューヨーク、日本食レストラン「SUIBI(すいび)」 メキシコ産ゴーヤーに、カナダ産大豆を使った豆腐、ハワイで作る沖縄そば、沖縄から取り寄せる豆腐よう…。摩天楼がそびえ立つ米国ニューヨーク・マンハッタンで、多国籍な食材を使った沖縄料理を提供するレストランを経営しているウチナーンチュがいる。南風原町津嘉山出身の城間淳夫さん(59)だ。野菜などを多く取り入れた沖縄料理は、健康を意識するアメリカ人や、日本からの駐在員らに評判がいい。 城間さんは那覇高校を卒業後、1972年、大学で経営学を学ぶためにハワイに渡り、77年にニューヨークに移り住んだ。「ジャズが好きだったから、自然にアメリカに足が向いていた」と城間さん。
 日本食レストランを84年に開業。初めは米国人向けに、てんぷらやすしを出していた。沖縄料理を本格的に提供するようになったのは2002年から。会社を辞めて、県内の料理学校で勉強した弟を呼び寄せてからだ。さらに、2000年以降、泡盛やオリオンビールが米国で流通し、ニューヨークでも手に入るようになったのも、後押しした。
 しかし、01年の米中枢同時テロで状況が一変。観光客の足が遠のき、周辺の日本食レストランが次々と閉店に追い込まれた。「テロにおびえながら仕事をしていた。『やめようかな』と思った時期もあったが、いつか客足は戻ると信じていた」と当時を振り返る。
 城間さんの店「SUIBI(すいび)」には、日本食に交じってゴーヤーチャンプルー、クーブイリチー、中身汁、ラフテー、足テビチなどさまざまな沖縄料理のメニューが並ぶ。しかし、世界中の料理が口にできるニューヨークでも、食材の確保は容易ではない。沖縄から取り寄せるにも採算面で限度がある。中華街で食材を探し、年に一度、行われる沖縄物産展で昆布など日持ちするものを大量に買いそろえるという。
 「ゴーヤーは、中華街でも手に入る。ジョージア州産やメキシコ産のものが主流で、沖縄のゴーヤーと違って、いぼいぼが少なく丸い、味もさっぱりしていて、苦味も強くない」という。
 ニューヨークでの沖縄料理の認知度は「まだまだ」と城間さん。「将来は、店の内装を沖縄のレトロ風にして、泡盛のかめも置き、アメリカ人に沖縄をアピールしていきたい」と言葉に力を込める。そして「沖縄の若い人で、アメリカでレストランなどやってみたい人がいれば、ぜひ来てほしい」と話している。

琉球新報 - 2006/12/5