医療・介護も同時加入 パートの厚生年金拡大で厚労省

 厚生年金へのパート労働者の加入拡大について、厚生労働省は17日、対象者は健康保険組合や政府管掌健康保険(政管健保)など会社員向けの医療保険にも同時に加入し、年金とともに医療や介護の保険料も負担してもらう方針を固めた。非正社員向けのセーフティーネットを整備するという「再チャレンジ支援」の趣旨に沿ったものだが、現在は会社員や自営業者の扶養家族として医療保険に加入している人や、企業にとってはさらなる負担増となり、反発も予想される。

 パートの加入条件について議論する18日の社会保障審議会年金部会で、同省が方針を説明する。

 健保組合の保険料率は組合によって異なるが、中小企業向けの政管健保の保険料率は現在税込み収入の8.2%。40歳以上の人には介護保険の保険料率1.2%も上乗せされる。厚生年金の保険料率14.6%と合わせると保険料率は計約24%に達し、本人と企業が折半で負担することになる。

 厚労省は当初、パート本人と企業の急激な負担増を避けるため、当面は厚生年金と医療・介護保険の加入を分けることも検討。しかし会社員向けの福利厚生として、厚生年金と健保組合、政管健保は一体的に運用されており、パートだけを特別扱いすると保険料の徴収などで混乱を招く可能性がある。今の制度ですでに厚生年金に入っている「正社員の4分の3、週30時間以上」働くパートも医療・介護保険料を負担している。

 また、再チャレンジ政策が対象とする低収入のパートにとっては、保険料が労使折半で本人負担が軽い健保組合などに入る方が、全額本人負担の国民健康保険に加入し続けるより有利になるケースが多いことから、同時に加入させるのが適当と判断した。

 一方で専業主婦や若年層のパートの中には、会社員や自営業者の扶養家族として医療・介護保険に加入し、現在は保険料を直接負担していない人も多く、同時加入への抵抗感は強いとみられる。

 パートの厚生年金加入については、パートに頼る外食・流通産業が保険料負担で経営が圧迫されるとして反対している。さらに医療、介護の保険料負担が加わることで反発が強まるのは必至。参院選を控え、与党内から慎重論が出る可能性もある。

朝日新聞 - 2007/1/18