笑いは「糖尿病の薬」? 笑いと健康学会、血液検査で科学的解明へ

 「笑えばあなたの血糖値が下がります」

 糖尿病患者に“朗報”となる「笑い」の治療効果について、初の本格的な実証実験が来年2月にも行われる。笑いと健康学会(会長・澤田隆治氏=帝京平成大学教授)が、糖尿病の症状に笑いがどう影響するかを医学的に検証するため、糖尿病治療に使われる専門的な血液検査(グリコヘモグロビン検査)を取り入れた実験を初めて実施。笑いの効果が解き明かされるかもしれない。

 笑いが健康に及ぼす効用については内外で多くの実験が行われてきたが、被験者数や期間、精度などの面で難点が残り、信頼性の高い実証データは得られていない。今回の実験で、笑いによる血糖値低下の効果が実証されれば、体への負担が軽いうえ楽しい糖尿病治療方法の可能性が広がりそうだ。

 グリコヘモグロビン検査は、血糖中のHA1c(ヘモグロビンA1c)の値を計測するもの。HA1cには、1?2カ月前からの血糖値のほぼ平均した状態が反映されるため、採血時の血糖値しか分からない血糖検査とは違い、普段の生活で血糖がどうコントロールされているかが分かる。「笑いの効用の実験で、笑いの前後のHA1cの変化をみるのは初めての試み」(澤田会長)。

 学会は、糖尿病治療の専門病院、東日本循環器病院・糖尿病センター(神奈川県海老名市)の専門家による小規模実験を経て、一般を対象とした本格的な実験を2月に行いたい考えだ。

 澤田会長は「笑いの効用については、エビデンス(信頼できる科学的根拠)が圧倒的に不足している。実験では、糖尿病の専門医を納得させられるようなデータを取りたい」と成果に意欲を見せる。

 国内の糖尿病患者は約700万人、4年後には1080万人に膨らむと推計されている。糖尿病や高脂血症になりやすいメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は予備軍を含めて1960万人いる。
フジサンケイ ビジネスアイ - 2006/11/18