老化防止へ東西の医学融合 北國健康生きがい支援事業

北國健康生きがい支援事業の北陸大学プログラム第一回フォーラム「50歳からの健康 ?安心できる老後に向けて」(北陸大、北國新聞社主催)は二日、金沢市観光会館で開かれ、北陸大の関連施設である映寿会みらい病院や東洋医学臨床研究所の医師、栄養士、鍼灸(しんきゅう)師らが東洋医学と西洋医学の融合による老化防止の取り組みや、生活習慣病、がんの予防などについて紹介した。無料の鍼灸体験も行われた。

 磨伊正義名誉院長が生活習慣病とがんについて語った後、基調講演した古田一史副院長が東洋医学の立場から、生活習慣病は血の流れが滞る状態だと説明し、漢方薬の桂枝狭苓丸(けいしぶくりょうがん)について「血液をサラサラにする効果だけでなく、動脈硬化を防ぐ作用も分かってきた」と述べた。

 パネル討議では、渡辺美智夫副院長ががんの性質や治療の概略を紹介し、土屋晴生内科部長はがん免疫療法について「再発予防によいことが確かめられた」と話した。

 西川圭子栄養部長は「一つの食品の効能を過信せず、まんべんなく食べてほしい」と助言し、劉園英北陸大助教授は漢方でいう食養生の例として「酸っぱい食品は肝臓を養うが、取りすぎると逆に肝臓が疲弊してしまう」と解説した。

 鍼灸体験を行った東洋医学臨床研究所の水野海騰チーフは、実際の治療の映像や鍼を見せながら肌の老化を防ぐ鍼灸を紹介した。映寿会みらい病院の中西博子在宅診療部長は「多くの人が自宅での最期を望んでいる」と述べ、これからの在宅医療について語った。

 毛利郁朗副院長がメタボリック症候群を改善するための運動について「食後一、二時間以内が効果的だ」と話し、最後に前田敏男院長が「高齢化社会には西洋医学と東洋医学の長所を生かした治療が求められている」と締めくくった。
富山新聞 - 2006/12/3