住基ネット訴訟で違憲判決の大阪高裁判事、首つり自殺か

3日午前9時5分ごろ、兵庫県宝塚市内の大阪高等裁判所第7民事部総括判事、竹中省吾(しょうご)さん(64)方2階の書斎で、竹中さんが棚にショルダーバッグのベルトを結びつけて首をつっているのを、妻(59)が見つけ、110番通報した。竹中さんはすでに窒息死していた。目立った外傷がないことなどから、宝塚署は自殺とみている。遺書は見つかっていないという。

 竹中さんは先月30日、大阪府内の住民が自治体を相手に住民基本台帳ネットワークからの個人情報削除を求めた訴訟で、「拒否している住民への運用は違憲」として、住民勝訴の判決を裁判長として言い渡していた。

 同署の調べによると、竹中さんは妻と2人暮らし。2日は夕食をとり終わった午後7時ごろ、1人で書斎に上がっていったという。深夜から3日未明にかけて死亡したとみられる。同高裁によると、1日は通常通り出勤し、4日にも裁判の期日が入っていたという。

 竹中さんは兵庫県出身で70年に判事補となり、大阪、神戸両地裁判事や広島家裁所長などを経て04年9月から現職。神戸地裁判事だった00年1月には、兵庫県尼崎市の公害病認定患者らが道路を設置・管理する国などを相手取った「尼崎公害訴訟」で、排ガスと患者の健康被害の因果関係を認め、汚染物質の排出差し止めを認める判決を言い渡した。

 大阪高裁には3日午前、兵庫県警から連絡が入った。小野憲一・同高裁事務局長は「最近の執務状況、健康状態などに変わった様子はなかったと聞いており、大変驚いている」とのコメントを出した。同高裁によると、遺族の意向で葬儀の日時・場所や自宅は公表していない。

朝日新聞 - 2006/12/3