振動障害で発症50年後、労災認定 神戸の元溶接工

全身の痛みやしびれなど、振動障害に五十年悩まされ続けた神戸市の元溶接工の男性が、神戸西労働基準監督署から労働災害の認定を受けてことが二十八日、分かった。造船会社の下請けで不調を訴えてきたが、病院から職業病の可能性を知らされず、労災補償による救済を受けられなかった。
溶接の熟練工で、潜水艦の建造などにかかわり、溶接後の接合部分をチッピングハンマー、高速グラインダーと呼ばれる振動工具で研磨していた。
下請け会社で、振動工具に関する健康診断があり、医師から「使用禁止が望ましい」という結果を得た。
労災補償に関する説明を会社から受けなかったという。症状は悪化し、指の感覚がなくなって、はしや茶わんを落とし、寒い日は足が痛んだ。
労災補償を受けられる可能性を知った。
相談センター相談員の泊満春さんも「下請け会社は労働安全衛生の教育が不十分で、職業病の可能性があっても労災を受けさせようとしないケースがある」と話している。