[住基ネット]「危険性を過大視した高裁判決」

住民基本台帳ネットワークの目的外利用など運用面の危険性を過大視してはいないか。

 住基ネットへの接続でプライバシー権を侵害されたとして大阪府内5市の住民が個人情報の削除などを求めた訴訟で、大阪高裁は、個人情報保護対策に欠陥があるとして住民の離脱を認める判決を言い渡した。

 全国の15地・高裁で同種訴訟が係争中だが、高裁判決は初めてだ。これまで住基ネット離脱を認めたのは金沢地裁だけだった。他の10地裁判決は、その公益・有用性に理解を示している。電子政府・電子自治体の構築が求められる中、この高裁判決には疑問が少なくない。

 住基ネットは、全国民に11けたの住民票コードを付け、国や地方自治体が、住民の氏名、住所、生年月日、性別の4情報を共同で利用する制度だ。

 判決は、防衛庁が自衛官募集に際し、自治体から得た個人情報を、問題例として挙げた。4情報のほか募集対象者の健康状態の情報も受け取り、データベース化していたことが3年前に発覚した。

読売新聞 - 2006/12/2