母が扶養に入ると年金が減る?

Q.
 実家で一人暮らしをしている58歳無職の母に仕送りしており、扶養家族に入れようと思っていますが、母は「扶養に入ると年金の給付が遅くなったり減額されるらしいから」と渋っています。母は2007年からアルバイトかパートをする予定です。13年間生活保護を受けていたので年金受給額はかなり低く、すぐにでも扶養に入れたいと思っているのですが、扶養になると年金が減額されるようなことがあるのでしょうか。(C.K 33 東京都)

A.
生活保護を理由に公的年金は減額されることはない
 ご質問からは、お母様の受給されている年金の種類が不明ですので公的年金ということでお答えいたします。

 まず、結論から申しますと、生活保護を受けていた方を扶養に入れた場合、公的年金の年金額が減額されることはありません。生活保護(以下「保護費」という)を受けているというのは、厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と本人の収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に保護を適用します。

 保護費は、最低生活費から収入を差し引いた差額となります。収入とは、就労による収入、年金等社会保障の給付、親族による援助等をいいます。仕送りをされているようですので、その金額が親族による援助と判断されていると思われます。例えば、現在保護費が10万円のお母様を扶養に入れ毎月3万円を上乗せして仕送りされることにした場合は、10万円?3万円=7万円が保護費となり、保護費の減額はありえますが、年金額が減額されることはないと思われます。

 ただ、ここで扶養に入れるとお考えなのは、健康保険の被扶養者としてか税務上の扶養親族としてでしょうか?健康保険の被扶養者にいれることは保護費を受けられているので問題はないでしょうが、税務上の扶養親族とは、


親族であること
生計を一にしていること
合計所得金額が38万円以下であること
扶養親族が他の控除対象配偶者または扶養親族として控除の対象とされていないこと
の4点を満たす方です。
 別居しているお母様を扶養親族とするには、生活費、療養費等の仕送りが行われ生計を一にしていることが必要となります(法令上は、そのことを証明する書類等を提出することまでは必要とされているわけではありません)。

 親族からの援助等詳細については、お母様のお住まいの市区町村にお問い合わせ下さい。

(吉田美和・社会保険労務士)

読売新聞 - 2006/12/7